最近、とにかく明るい安村さんが出場したイギリスのテレビ番組で彼のネタがイギリス人に大受けしたことがニュースやバラエティー番組で紹介されています。
彼が叫んだ英語は
I’m wearing!
でした。
そう、日本語で「履いてます」と彼は言いたかったのです。
が。。。
自動詞と他動詞の解説
BGT(Britain’s Got Talent)は各国で放映されている人気オーディション番組で、各国でそれぞれタイトルが異なっています。
アメリカではAGT(America’s Got Talent)、オーストラリアではAustralia’s Got Talent、韓国ではKGT(Korea’s Got Talent)です。
安村さんの芸は、パンツ一枚で裸のポーズを変えて、小さめのパンツがぽっちゃり体形に隠れ、まるではだかのように見える芸を披露し、爆笑を巻き起こしたのです。
この芸の面白さはポーズをとった後に安村さんが発する「はいてます」の言葉に面白味がりますね。
BGTでは安村さんは「はいてます」をそのまま英語にして “I’m wearing” と言っています。
しかり、この “I’m wearing” だけではイギリス人の観客はたぶん面白さが理解できなかったと思います。
この場合に使った “wear” という単語は他動詞なので、目的語がないと何を言わんとしているかネイティブの人には理解しづらい状況です。
そこで審査員の女性が “pants” と大声で発して、観客に理解されるようにしていました。
英単語の動詞には「自動詞」と「他動詞」があって、これらは厳密に区別されます。
他動詞とは
他動詞は「目的語」が必要です。
目的語とは、動作の対象となるヒトやモノを表す語のことを言います。
日本語では「私は昨日彼女を見ました」のように「~を」や「~に」などの助詞を付けて表されることが多いです。
他動詞として使われている例:
I saw him walking on the street.
通りを歩いている彼をみた。
I open my bank account.
銀行口座を開設する。
上記の場合に使われている “see” や “open” は他動詞として使われているので、その後に “him” や
“my bank account” という目的語がないと文として成り立ちません。
「I saw」で終わってしまうと、聴いている人は「何を見たの?」と聞きたくなるでしょう。
「I open」も「私は開ける」となってしまい「何を開けるのか?」と聞きたくなってしまいます。
そこでこの他動詞はそれぞれ「him」や「 my bank account」という目的語を入れて文を完成させているのです
自動詞とは
自動詞として使われる場合は目的語は必要ありません。
例えば、
The door opens automatically.
ドアが自動であく。
この場合の “open” は自動詞として使われているので、後に目的語がなくても文は成り立っています。(注:automaticallyは副詞)
“open” 以外にも自己完結する動作である “go”、”sleep”、”stay” なども自動詞となります。
動詞は自動詞と他動詞の両方の意味を持つ場合も多い
英語の動詞は自動詞と他動詞の両方の使い方がある場合が多いので、どのように使われているかを考える必要があります。
安村さんの話に戻りますが、安村さんは、サッカー選手や映画「007」の主人公ジェームズ・ボンドをまねながら、客席からパンツが見えないギリギリのポーズをとりました。
裸の芸でそれはそれで面白いと観客に受けてましたね。
安村さんの言った “I’m wearing” は?
そして次のポーズに移る前にはおきまりの「安心してください、はいてます」のセリフを英語で披露。
それが
“Don’t worry. I’m wearing.”
でした。
これを訳すと「心配しないでください、私は擦り切れてますから」ということになってしまいます。
なぜかと言うと、この「wear」という動詞は「身に付けている」という意味で使う場合は他動詞となり、目的語がないと文として成り立たないのです。
そして安村さんは「I’m wearing.」とだけ言って、その後に何も目的語(例えばpants)を言っていないので、自動詞として観客は受け入れるでしょう。
「wear」の自動詞としての意味は「擦り切れる」という意味です。
そこで審査員の一人の女性がすぐに “pants” と大声で発して、文を完成させたため、さらに観客に大受けする結果になりました。
以上今回は自動詞と他動詞の使い方の解説でした。